COLUMN
2023.07.05
脂肪肝と体力メンテナンス:健診データ「ALT>30」の方は要注意!脂肪肝を放置していませんか?
肥満やメタボとの関わりが深い「脂肪肝」。近年、この脂肪肝を基礎疾患とする肝臓病が増加していることをご存知でしょうか?今日は、食べすぎ・飲みすぎが増えているなかで、現代人が注意すべき「脂肪肝」に関する話題をお届けします。
脂肪肝って何ですか?
脂肪肝とは、中性脂肪が肝臓に蓄積する病気です。食事で摂取した摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、余分なエネルギーはグリコーゲンや中性脂肪に作り替えられ、体に蓄えられます。この中性脂肪の一部は肝臓にも貯蔵されますが、肝細胞の30%以上に中性脂肪が貯まると脂肪肝と診断されます。
脂肪肝の初期にはほとんど症状がありませんが、放置しておくと肝機能の悪化や、肝硬変や肝がんなどの深刻な病気に進展したり、動脈硬化を進行させてしまいます。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれており、症状が出にくいことが特徴となりますが、早期に発見し、早期に治療していくことが極めて重要です。
脂肪肝の原因:あなたは大丈夫ですか?
脂肪肝は肥満やメタボのある人との関わりが深く、脂肪肝の原因の約半数が肥満とも言われていますが、日本人における軽度の脂肪肝は、見た目がスリムな人でも指摘されており、肥満じゃないから大丈夫ではないのです。体重が2~3kg増えただけで肝臓に脂肪が貯まる可能性があり、ここ数年の運動不足や食生活の変化によって、健診で肝機能に異常があると指摘されている人は年々増加しているのが現状です。
普段の生活で、食べ過ぎや糖質の取りすぎ、アルコールを飲みすぎる人は、肝機能を示す血液検査の項目「AST」「ALT」「γ-GTP」を確認してみて下さい。日本肝臓学会は今年6月に「奈良宣言2023」を発表しましたが、特に「ALT」の値に注目しており、「ALT>30」であった場合はかかりつけ医に相談することを呼びかけています。
「年々体重が増えている」「お酒を飲みすぎている」「間食が多い」「甘い飲み物を良く飲む」「家族に肝臓病の人がいる」という人は特に注意を要します。脂肪肝は食事や運動などの生活スタイルを見直していけば、改善できるものでもあります。日頃から、肥満やメタボを予防していく生活習慣がそのまま疾病予防に繋がっていくのです。
運動すると脂肪肝が改善!
筑波大学の研究によると、ウォーキングなどの運動を1日に30分以上続けると脂肪肝が改善すると報告されています。運動量が増えるほどに内臓脂肪が減ることが明らかになり、ウォーキングなどの有酸素運動を3か月継続したグループでは脂肪肝が改善されたそうです。1週間に250分、1日に換算して30分以上の運動を続けると肝臓に貯まった脂肪が減りやすくなることが明らかになっています。
その他、運動を続けることで、「善玉コレステロール」や動脈硬化の予防や血糖を下げる「アディポネクチン」が増加することも明らかになっています。運動によって、血管を守り、生活習慣病のリスクも下げていくことに繋がるのです。
ちなみに、脂肪肝には、飲酒が関与する「アルコール性脂肪肝」と飲酒習慣がなくても発症する「非アルコール脂肪肝」があります。後者の原因は肥満や2型糖尿病、脂質異常症等に起因するものですが、近年ではこの「非アルコール性脂肪肝」が増えていることが懸念されています。何度も繰り返しますが、見た目は太っていないし、お酒も飲まないから大丈夫ではないのです。
定期的な健診と日常生活の見直しを!
今回は脂肪肝に関する話題でしたが、ご自身の健診結果をぜひ見直してみて下さい。前述したとおり、血液検査で広く測定されているALT値が30を超えていたら、かかりつけ医への相談を勧めます。脂肪肝は早期発見・早期治療で改善が期待できるものです。飲み過ぎの人はお酒を控える。肥満の人は食事・運動から適正体重に戻す。睡眠やストレスを改善する。この生活習慣の見直しが大事です。
体力メンテナンス協会では、運動嫌いな人でも、運動習慣のない人でも、安全に運動習慣を築くことができるバランスボールエクササイズを指導しています。天候に左右されず、室内でもできることが魅力の一つでもあります。
忙しくて外に歩くことは難しい。でも、有酸素運動を始めたい。メタボや肥満を解消したい。健診データを改善したい。そう思っている方には、場所や時間を問わずに気軽にできるバランスボールエクササイズを心からおススメします。オンラインでもレッスンを受けれますので、ぜひ体験してみてください。
参考資料:奈良宣言特設サイト
https://site2.convention.co.jp/jsh59/nara_sengen/ippan.html