COLUMN

2022.02.23

「かくれ酸欠」になってませんか?「呼吸」を味方に健やかな毎日を!

 

呼吸は生命の基本となるもので、人は一日に2万回、一生のうちに6~7億回もの呼吸をしていると言われています。

 

息することは、生きること。こんな風に言われるくらい、呼吸が生命活動の欠かせないことは誰もが理解しているのに、普段の生活のなかで「呼吸を意識している人はどの位いるでしょうか?

 

今回は、私たちの心身の健康や老化にも影響している「呼吸にフォーカスを当てた内容をお届けします。

 

「いい呼吸」をしていますか?

 

コロナ禍でのマスク生活が始まって約2年。実は知らぬ間に酸欠となっている「かくれ酸欠の人が増えているという実態をご存知でしょうか。この「かくれ酸欠」とは、「気づかないうちに呼吸が浅くなり、体に取り込む酸素が不足する状態」のことを言います。

 

まずは、自分が「かくれ酸欠」になっていないか、以下のチェック項目を確認してみてください。

 

1.集中力が続かない
2.記憶力が低下している
3.寝付きが悪く、日中あくびが出やすい
4.慢性的な頭痛を感じる
5.貧血を起こすことがある
6.運動していないのに動悸・息切れを起こしやすい
7.休んでも疲労感が消えない
8.息を10秒かけて吐き出せない

 

3〜5個当てはまった方は、「かくれ酸欠」になりやすい体質

6個以上当てはまる場合は「かくれ酸欠」の可能性ありですが、結果はどうだったでしょうか?

 

心の動きに左右される「情動呼吸」をご存知ですか?

 

加齢や姿勢が呼吸の質に影響していることはよく知られていますが昨今では過度なストレスや不安から呼吸困難に陥っている人が増えていることが報告されています。

 

普段、私たちがしている呼吸は2種類あり、ひとつは延髄が制御している「代謝性呼吸」、もうひとつは深呼吸のときのように意識的にする呼吸であり、大脳皮質の運動野が制御している「随意呼吸」というものです。

 

しかし呼吸は、意識や無意識かの区別があるだけでなく、心の動きにも左右されています。普段の生活の中でも、不安や緊張感が高まっているときほど、呼吸が速くなる経験があるかと思いますが、こうした呼吸の変化は、呼吸と感情が密接に関連しているからです。

 

これまでの研究においても、不安が高まれば高まるほど呼吸数は増加することは明らかであり、さらに詳細を調べた結果、情動の中枢である扁桃体が制御していることが認められました。この呼吸を「情動呼吸」と呼んでいます。

 

昨今、世の中の状況から多くの人が不安を感じやすくなっていますが、こうした不安と浅い呼吸の負のスパイラルが心身の不調を引き起こしていくことが懸念されています。

 

質の悪い呼吸は心身に影響を及ぼす

 

では一体、呼吸の質が悪くなると、心身にどのような影響が生じるのでしょうか。

 

一般に、呼吸の質が悪くなると、疲れやすくなったり、集中力が低下したり、各臓器の働きが低下することが指摘されています。

 

さらに呼吸は自律神経とも連動しているため、呼吸の質が悪くなると自律神経のバランスを乱し、心拍数や血圧、体温、体温などの恒常性に影響し、不調や様々な病気に繋がりやすくなると言われています。

 

しかし、普段の呼吸が無意識下で行っているため、多くの人が自身の呼吸を気にすることは滅多にありません。さらに、メインとなる呼吸筋をうまく使えていなくても、ほかの筋肉がサポートして呼吸を補助する仕組みが人には備わっていため、呼吸の質が悪くなっても自覚できずに、気が付いたときには体調不良に陥っていることも決して珍しくないのです。

 

呼吸力を高める3つのメンテナンス

 

ここでは、日頃から呼吸の質を高めるために有効な3つのメンテナンス方法をご紹介します。

 

1. 姿勢を良くする
まず何よりも意識していただきたいのが姿勢です。

なぜなら猫背の姿勢は胸郭の広がる範囲を狭めてしまいます。その結果、空気を入れるスペースが狭まり、呼吸が浅くなり、換気が十分にできなくなってしまうからです。普段、スマートフォンを長時間使用し、前かがみが習慣化していませんか?普段から良い姿勢を心がけ、姿勢を保つ筋肉を衰えさせないことが大切です。

 

2. 有酸素運動
呼吸にメインに関わっている肋間筋のほとんどは赤筋であり、酸素をエネルギーに変えながら持続的に機能しています。したがって、有酸素運動をすることによって呼吸筋を鍛えていくことができます

 

3. 口呼吸をしない
人は鼻で呼吸をすることが基本ですが、昨今では口呼吸の人が増えていることが指摘されています。鼻呼吸は、優れた防御システムを持つ呼吸法であり、外から侵入しようとする花粉やホコリだけでなく、ウイルスや細菌などのさらに小さな異物の侵入をも防いでくれます。朝起きたときに口やのどがカラカラに乾いていることはありませんか?また、知らず知らずのうちに口が半開きになっていたりしていませんか?もしそうであれば、口呼吸の癖がついているかもしれません。鼻呼吸となるように修正していきましょう。

 

まとめ

 

私たちは片時も休むことなく空気中の酸素を体内に取り込み、栄養素を燃焼させてエネルギーを作り出しています。しかし誰もが同じように空気の出し入れをしている訳ではなく、中には、浅く速い呼吸となる等、普段している呼吸の差が知らず知らずに老化や病気の元になっている場合もあるのです。

 

日常で無意識にしている呼吸を意識していくことは、自律神経を整え、心と体のバランスを健やかに保ち、健康寿命を伸ばしていくことにさえ繋がっていきます。

 

一般社団法人体力メンテナンス協会では、こうした心身の健康や長寿に繋がる情報についても、協会認定の体力指導士を中心に行政や教育機関、企業などで要望に応じた講座やレッスンにてお伝えしています。こうした活動にご興味ある方はぜひ事務局までお問い合わせください。